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やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2025/06/17
確定拠出年金制度の運用指図者期間と退職所得控除額の計算における勤続年数の関係

[相談]

 私は、諸事情により確定拠出年金制度の掛金を納付できなくなったため、所定の手続きを行って加入者資格を喪失し、運用指図者(新たに掛金を拠出することなく、保有する資産の運用を続ける人)となりました。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の運用指図者期間は、所得税法上の退職所得控除額の計算における勤続年数には含まれるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の運用指図者期間は、所得税法上の退職所得控除額に係る勤続年数には含まれないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.所得税法上、退職手当等とみなされる一時金とは

 所得税法では、退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(退職手当等)に係る所得をいうと定められています。

 また、次の@からBの一時金は、所得税法上の退職手当等とみなすと定められています。

@国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金で一定のもの)
A石炭鉱業年金基金法の規定に基づく一時金で同法に規定する坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるものその他同法の規定による社会保険に関する制度に類する制度に基づく一時金で一定のもの
B確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金で同法に規定する加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として一定のもの(※1)

※1 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約又は同法に規定する個人型年金規約に基づいて同法に掲げる老齢給付金として支給される一時金は、これに含まれます。

 なお、この退職手当等とみなされるものを、所得税法では「退職一時金等」といいます。

2.「退職一時金等」に係る勤続年数の計算の規定の概要

 所得税法上、上記1.の「退職一時金等」に係る退職所得控除額における勤続年数の計算について、勤続年数とは、組合員等であった期間(退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間)をいい、その期間の計算が時の経過に従って計算した期間によらず、これに一定の期間を加算して計算した期間によっている場合には、その加算をしなかったものとして計算した期間をいうと定められています。

 ただし、その退職一時金等が上記1.Bの一時金に該当する場合には、その支払金額の計算の基礎となった期間は、その支払金額の計算の基礎となった確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者期間(企業型年金規約に基づいて納付した事業主掛金に係るその企業型年金加入者期間に限ります)と、その計算の基礎となった個人型年金加入者期間(同法に規定する個人型年金規約に基づいて納付した個人型年金加入者掛金に係るその個人型年金加入者期間に限ります)とを合算した期間(重複している期間を除きます)により勤続年数の計算を行うと定められています。

 また、今回のご相談の「運用指図者」とは、確定拠出年金制度において、個人別管理資産について運用の指図を行う人(=掛金の納付がなく、運用指図のみを行う人)をいいます。

 したがって、ご相談の運用指図者期間は、所得税法上の退職所得控除額に係る勤続年数には含まれないこととなります。

[参考]
所法30、31、所令69、72、所基通31-2、確定拠出年金法2など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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